北斗七星

北斗七星 2010年3月29日付 Vol.1327

2010/04/01 15:38

週刊BCN 2010年03月29日vol.1327掲載

▼だいぶ前の話になるが、茨城県立盲学校を取材したとき、筆者が生徒へインタビューする姿を見た先生から注意を受けたことがある。「生徒には、相対する人の目を見て話すように指導している」と。下向き加減で受け答えしていた姿を、こう咎められた。盲学校に通う生徒は、弱視の人が多く、健常者と同じエチケットを学ばせているのだ。

▼身体に障がいがあって生活上のハンデはあるものの、懸命に健常者に追いつき、追い越そうと学んでいる。そんな彼らに勇気を与えた冬季五輪の「パラリンピック」が閉幕した。日本勢は、前回トリノ大会の9個を上回る11個のメダルを獲得。圧巻は「アイススレッジホッケー」で、地元カナダの強豪を破っての金メダル。各紙は「パラリンピック史に輝く金字塔」と賞賛した。

▼健常者のオリンピックに比べ、注目度や報道の頻度も低いが、ここ数回の日本の活躍は目覚ましい。技術をトップレベルに高めるための努力は、健常者に勝る。今大会はメダル総数で国別6位タイと躍進した。

▼実は、それを支えるITシステムも半端ではない。日本の国体後に開催する「全国障害者スポーツ大会」では、先端IT技術の英知が集結する。例えば、いままで手作業だった各競技者の出場資格登録は、09年の新潟大会で地元SIerがWebアプリ化した。障がい度合いに応じた資格照会はとても煩雑だ。大会運営をITで効率化すれば、余った人的資源をPR活動に振り向け、大会をより盛り上げることができるだろう。
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