BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『人生で大切にすること』
2010/04/01 15:27
週刊BCN 2010年03月29日vol.1327掲載
ビル・ゲイツ・シニア、かの天才の父親が著した新刊である。ただし、いかにしてわが子を育てたかを披露するような“英才教育本”とは、趣を異にしている。「皆に同じ質問をされたものだ。『どんな子育てをなさったんですか? なにか秘密があるのでしょう?』。そのたびにこんなふうに思った。『たしかにそれは秘密だな……このわたしがいくら考えてもわからないのだから!』」。
著名な弁護士であり、社会活動や社会奉仕に積極的に関わっているビル・ゲイツ・シニア、そして同じくボランティア活動に精を出してほとんど家にいない妻・メアリー、この二人がどんな人生を歩み、どんな家庭生活を営んできたかを淡々と読み聞かせるような内容になっている。
家族にトレイと呼ばれていたビル・ゲイツは、幼いころ、父に連れられてよく図書館へ通った。それがきっかけで無類の本好きとなり、食事のときも本を読むので、困ってしまったそうだ。とはいうものの、「わたしがトレイから学んだのは、子どものころの旺盛な好奇心は生涯続く可能性があるということだ」と、好意的に書かれている。読めば、じんわりと味を感じる本である。(止水)
『人生で大切にすること』
ビル・ゲイツ・シニア+メアリー・アン・マッキン 小川敏子訳
日本経済新聞出版社刊(1800円+税)
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