今日のひとことWeb版

出版業界、変革迫られる年に

2010/03/02 15:26

 今年1月に米アップルが「iPad」を発表したシーンは記憶に新しいと思います。電子書籍端末市場の盛り上がりを予感させてくれたのではないでしょうか。

 ソニーなどの国産メーカーが一度退場している国内市場ですが、状況は刻々と変わりつつあります。

 国産メーカーからの発表が相次ぎ、2010年は「電子書籍元年」となりそうな勢いです。ソニーも米国での成功を引っ提げて再挑戦することになるでしょう。

 米アマゾン・ドット・コムの「Kindle」など電子書籍端末の普及を睨み、出版社はその対応に本腰を入れ始めました。出版業界の収益モデルの構築が課題となっていますがすでに後戻りできない状況です。

 米国では、一足早く電子書籍端末が受け入れられ始めています。

 米NPD Groupの調査結果によれば、電子書籍端末の利用者の93%が現在所有しているデバイスに「大変満足」あるいは「ある程度満足」しているそうです。不満を示した回答者はわずか2%でした。

 紙の書籍と違い、無線接続できる点が特に高い評価を得ました。調査は2009年11月に実施、1000人以上の電子書籍端末所有者を対象にオンラインでアンケートの回答を得たものです。

 米国と日本、それぞれ出版の事情は異なります。再販制度に守られ、返品自由の取引など日本独特の商慣習が根づいています。それだけに、出版業界にとって、米国に右ならえとはいかないでしょう。

 出版業界向けシステムに強い光和コンピューターは、書店にダウンロード場所を限定する電子書籍を発売するようです。発売時期は明らかにしていませんが、“ジャパンモデル”をつくると息巻いています。

 果たして成功するのか、疑問の声は挙がっています。ただ、今後こうした国内独自の動きが活発になってくるかもしれません。

 いずれにしても、2010年は出版業界にとって明確な分水嶺になるものと思われます。

(信澤健太)

【記事はこちら】
電子ブックリーダーが日本で成功する条件は ジャーナリスト 麻倉怜士」
光和コンピューター、「本屋で売る電子書籍」のビジネス戦略をトップが語る
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2010.3.2」より
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