北斗七星

北斗七星 2010年2月22日付 Vol.1322

2010/02/25 15:38

週刊BCN 2010年02月22日vol.1322掲載

▼神の御業としたならば、彼女に与えられた試練は余りに酷である。彼女とは、日本国中の期待を背負い、4度目の挑戦となるバンクーバー五輪の女子モーグルに挑んだ上村愛子選手のことだ。1998年の長野五輪の7位から4年ごとに一つずつ順位を上げ、今回は4位。神を呪いたい気持ちをこう伝えている。「何でこんな、一段一段なんだろう」。

▼彼女が築いた五輪4大会連続の入賞は、日本人最高記録だ。これだけで十分な栄誉。だが、国民の多くは「メダルを獲ってほしかった」と思っている。スポーツ界では、「記録」に残らなくとも「記憶」に残る選手がいる。プロ野球の西武・巨人などで活躍した清原和博選手は、あれだけ球界で目立った存在だが「無冠」だ。上村選手も同じく、後世に名を残すことだろう。

▼五輪の開催は、デジタル家電を拡販できるチャンスだが、ここまで日本人選手が振るわないと、家電量販店のテレビ前の人だかりさえ期待できない。「悲劇のヒロイン」だけでは需要を喚起できないだけに、五輪商戦が低調に終わるのではないかと心配する。

▼五輪の映像は「テレビで見る」から「Webで観戦する」時代へと突入。米NBCは、マイクロソフト「Silverlight」のストリーミング機能を利用し、インターネット接続環境のある端末に高画質を提供する。五輪の「筋書きのないドラマ」を見る場所が多くなれば、デジタル家電への興味も沸くはず。スポーツ商戦はテレビ関係以外の商材を考える時期にきている。
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