BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」』

2010/02/25 15:27

週刊BCN 2010年02月22日vol.1322掲載

 まず、質問から。下に掲げた文章(ケータイのメール)は、どう読むのか分かりますか? 質問その2。日本の若者は、何歳からケータイを持ち始めるのか。その答えは10代では14・24歳、中学の2~3年生からということになる。

 若者が自分専用でケータイをもっている割合は、世界を見渡しても日本が断トツに高いという調査結果が報告されている。博報堂生活総合研究所で若者研究を専門としてきたキャリアをもつ著者は、7年間をかけて全国の1000人にインタビューを行った。その結果、“近頃の若者”が形成する社会に、ケータイが大きな影響を及ぼしていることに気づいた。

 その一つは、異常なほど知り合いを多くもつ若者が増えたこと。それはそうだろう。毎日、40通近くものメールのやりとりをする人もいるほどだから。その結果、何が起きるかといえば、コミュニケーションスキルが磨かれることになる。それがまた、“村社会”を形成し、過剰ともいえるほどの「空気を読む作法」が蔓延することになる。そしてまた、ニュータイプの“村八分”が生まれる。

 そんな社会のなかで、彼ら若者は、“フリ”をすることを身につけた。時にはお嬢様キャラであったり、理詰めのキャラであったり…。企業の採用担当者は、キャラを使い分けてソツのない受け答えをする彼らに、篭絡されてしまうこともあるという。「若者の実像」を把握したい企業のマーケティング担当者にはお奨めの本である。(止水)

この本の見返しに掲載されているメール文

『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」』
原田曜平著 光文社新書(820円+税)
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