北斗七星

北斗七星 2010年1月18日付 Vol.1317

2010/01/21 15:38

週刊BCN 2010年01月18日vol.1317掲載

▼「成人式」のルーツは、1946年に埼玉県蕨市(旧蕨町)で実施された「青年祭」とされている。昔は通過儀礼として男子の元服などがあった。これを「式典」的に祝う風習として定着したのが戦後。同市の高橋庄次郎・青年団長が敗戦による虚脱感が残るなか、「次代を担う青年に明るい希望をもたせる」趣旨でプログラム化され、全国へ波及したのだ。

▼2010年は、「最初の成人式」と同じく、不況による虚脱感が青年に色濃い。マクロミルの調査によると、「日本の未来は暗い」と回答した新成人が8割にも達した。理由として「技術力が他国に追いつかれそう」「秀でたモノがなくなりつつある」など、日本の経済成長を支えてきた「モノづくり」の将来性に不安を訴えている。

▼国内のIT業界でも、この指摘は差し迫った課題だ。AV機器市場では、日本メーカーが一時期世界を制していた。だが、テレビでさえ、中国や韓国メーカーによる世界進出が著しく、世界の店頭に並ぶ日本メーカー製品がこれに比べて少なくなっている。ビジネス向けに至っては、依然として輸入過多で輸出は大手ITベンダーに限られ、内需崩壊とともに需要を失う構造だ。

▼国内IT業界の需要基盤は軟弱で、リーマン・ショック以降の需要低迷により、皮肉にもぜい弱な構造を露呈してしまった。この欄で何度か言及しているが、環境配慮に必要なIT技術に長けている日本。これ以外にも優秀な製品は多い。今こそ輸出増を図るべき行動を起こそう。
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