北斗七星

北斗七星 2009年10月26日付 Vol.1306

2009/10/29 15:38

週刊BCN 2009年10月26日vol.1306掲載

▼楽天イーグルスの野村克也監督は、弱小チームを4年でリーグ2位に押し上げた立て役者なのに、退団が決定した。一方でこんな例もある。業績不振で引責辞任した社長が率いていたベンダーの様子をうかがいに訪問すると、内情は国内参入時に比べて惨憺たる状況だった。“元”社長は、早々と次の外資系ITベンダーの役員に転じた。「立つ鳥跡を濁したまま」だったにもかかわらずだ。筋の通らない話に思える。

▼筋が通るといえば、野村監督が打ち立てた「ID野球」だ。経験や勘にとらわれずデータを基に科学的にヒトを動かす方式である。とはいえ、データ分析だけでチームが強くなるのなら、苦労はない。ID野球の何たるかを選手たちに浸透させるのに4年という歳月を要したということだろう。

▼企業内には、財務、人事、顧客情報など重要なデータが散在する。資金繰りなど、事業継続に必須の数値だけでなく、中・長期的な需要予測や見込み顧客の洗い出しにも、これらデータが活用される。しかし、ERPなどで数値管理は効率化しても、役に立つモノにならない。

▼巨人軍の長島茂雄元監督が得意とした“ひらめき”や、消費行動予測に必要な定性データを組み合わせた、より深い分析が求められる。これをもっと効率よく収集するため「エンタープライズサーチ」が生まれた。しかし、このツールをうまく活用する企業は少ない。日本の中小企業がこの大不況を脱する答えは、この辺りにありそうだ。
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