北斗七星
北斗七星 2009年10月19日付 Vol.1305
2009/10/22 15:38
週刊BCN 2009年10月19日vol.1305掲載
▼高度経済成長期の1964年、東京でオリンピックが開かれた。新幹線や首都高速の建設など、「オリンピック景気」に沸いたことは今さら触れるまでもないだろう。現在のように、日本がGDP世界2位にまで躍進する推進力になった。
▼日本は、世界に比べてリーマン・ショック後の景気回復のテンポが遅い。2016年よりも前に到来するデジタル放送完全移行。その関連で、オリンピックを東京で開催することによって、IT業界が息切れしないロードマップが描けていたはずだ。スーツの胸元に「招致応援」のピンバッジを付けた多くのITベンダーは、招致決定の朗報を心待ちにしていた。
▼もし東京でオリンピックが開催されたなら、2兆9400億円の「経済波及効果」が見込まれていた。1964年の開催時は基幹システムを日本IBMがほぼ2年がかりで構築し、それを契機に国内での地位を確立した。仮に招致が成功したとしても、国と都の公共予算であるため、「ITゼネコン」と呼ばれるベンダーにお鉢が回る構図だが、中小のベンダーも分け前に預かった可能性が大きい。今こそ“特需”につながるきっかけがほしい。オリンピックはその役割を果たすだけに残念だ。
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