BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『デッドライン決断術―ムダな仕事はネグれ!』

2009/10/13 15:27

週刊BCN 2009年10月12日vol.1304掲載

 今週は、IT関連から少し離れて、マネジメントがらみのビジネス書をレビューしよう。著者は吉越浩一郎氏、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長を務めた人物である。

 吉越氏は1992年に社長に就任、業績不振に陥っていたトリンプを立て直し、 年連続増収・増益に導いた立役者だ。その原動力となったのが、社内で実践した「早朝会議」であり、「がんばるタイム」である。

 毎朝の早朝会議では、複数のチームリーダーが「取り掛かっている仕事の進捗状況」を順に報告し、未達成なら次にどんな手を打つかを述べる。一人に与えられている時間はごくわずかなので、リーダーは未達成の言い訳などをする猶予はない。会議室には、吉越氏の「なら、どう立て直すのか。明朝の会議までに案を固めなさい。ハイ、次!」と叱咤する声が鳴り響く。この会議から誕生したのが、大ヒット商品となった『天使のブラ』『悪魔のブラ』である。

 「早朝会議」の意図するところについて吉越氏は、「社員にデッドライン(締め切り)を守ってもらうため」と述べている。それを補完するために、社内がシーンと静まり返る「がんばるタイム」を設けたのだという。

 デッドラインを厳守するためには、限られた時間のなかで、優先すべき仕事を判断し、その他はネグる(無視する)決断力が求められるというのが、この本の要旨。とくにネグる力が決め手となると、著者は提唱している。(止水)


『デッドライン決断術―ムダな仕事はネグれ!』
吉越浩一郎著 祥伝社新書(760円+税)

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