北斗七星

北斗七星 2009年9月14日付 Vol.1300

2009/09/14 15:38

週刊BCN 2009年09月14日vol.1300掲載

▼IT業界関係者に会うたび、お互いの口を突いて出てくるのが「景気はどうですか?」という問いかけ。「リーマン・ショック」以降、最近までの返答は「最悪です」の繰り返しだった。ところが、ここにきて、この決まり文句に変化が現れている。会話の端々に“小さな兆し”が見え、景気は底を打ち、上向き加減にあることが発見できる。

▼オフィス用品を販売する某ベンダーでは、コピー用紙の出荷が例年並みに回復しつつあるという。景気が悪くなると、企業ではコスト削減策としてプリント枚数を減らす傾向がある。トヨタ自動車が「カラーコピー全面禁止」を決めたこと──プリンタ業界では「トヨタ・ショック」と呼ぶ──を契機に、機器とともにコピー用紙やトナーなどサプライの需要が低迷していた。

▼昨秋からは、外資系ITベンダーの日本法人に“リストラの嵐”が吹き荒れた。「お世話になりました」メールが、例年に増して寄せられていた。だが、某IT求人会社関係者は「マネジメント系の求人は戻ってきた」とみる。リストラで筋肉質に戻し、景気を見計らって採用を増やしていると推測できる。

▼二つの例だけで景気判断をするのは早計だろう。ただ、SIerを取材すると、「相談したい」と見積りだけを要請する「受注度低」の見込み案件が増えているとの声をよく聞く。価格と要件の厳しいこれらの案件には、いままでの提案内容は通用しないが、景気回復後のスタートダッシュに備えて、落ち穂をうまく拾う必要がある。
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