北斗七星

北斗七星 2009年3月23日付 Vol.1277

2009/03/23 15:38

週刊BCN 2009年03月23日vol.1277掲載

▼桜の蕾が膨らむ頃、“華麗なる転身”を遂げた大手外資系ITベンダー役員の話を耳にする。前勤務先では社長就任を目論むも、「政争」に敗れて断念。居場所を失うかという場面で社外から誘いの手が伸び、これに応じてトップに就くパターンだ。なかには、競合の同じ製品領域の担当責任者に転職する例もある。受け入れ側にすれば「ネガティブ・キャンペーン」の一環なのだろうが、IT業界の“人”取り合戦の凄まじさがみえる。

▼米国発の報道によれば、ITバブル時代に栄華を極めたシリコンバレーでは、「リーマン・ショック」以降に雇用者数が減少に転じているという。この地に本拠を構えるITベンダーのなかには、マイクロソフトやオラクルのような“巨人”を夢見る経営者がいる一方、こうした“巨人”に買収されて巨万の富を得ることを暗に目指す経営者もいると聞く。さぞかし、「有能なキーパーソン」の取り合いになっていることだろう。

▼景気の低迷は米IT業界に波及し、その海外拠点である日本法人をも直撃している。冒頭の役員は「人事コンサルタント」などを介し、すぐに次の職を探し出せる。ここへきて国内の外資系ITベンダーのリストラが目立つ。この時期は、こうした人たちから「お世話になりましたメール」が届く季節でもある。高給取りの外資系社員が、いままで通りの給与で転職するのは容易ではないようだ。それならば、全国区で培った知識を生かし、地方ベンダーへの「Iターン」転職を考えてほしい。
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