北斗七星

北斗七星 2009年3月16日付 Vol.1276

2009/03/16 15:38

週刊BCN 2009年03月16日vol.1276掲載

▼オバマ大統領が、民主党の予備選時から個人の「小口献金」をネットのクレジットカードで集めた事実は有名だ。日本の選挙制度では、ネットを通じた献金を禁じているばかりか、選挙公示期間中に候補者ホームページを更新することすら許されていない。圧力団体などが「なりすまし献金」し、のちに候補者が脅されることを防ぐためだとか。国民の政治離れが顕著になるなか、ネットの利便性を生かせば、政治に関わる機会を増やすことにつながるはずだ。

▼米国の「ネット献金」は、20ドル以上で、氏名・住所が公開される。この方式が「政治家による利益供与」を生まないとは断言できない。しかし、秘書が逮捕された民主党・小沢代表の例だけでなく「政治団体」を隠れ蓑にした献金は自民党にも波及しそうだし、度重なる制度改正でも改善の兆しはみられない。ならば、これを機に米国方式を認可するのも一つの手だ。

▼政治資金パーティーを頻繁に開く某代議士に聞くと、「個人献金」を主体として政治献金を集める政治家が少なからずいるという。ところが、現行の制度に比べて透明性が増すはずの個人献金だけに頼っていると、長期的な政治活動費を賄なうほど集金できないのだ。政治家個人の政治信条を知る機会は、せいぜい街頭演説くらいのもの。有権者が政治家を知らないから投票に行かず、政治に無関心になる。Web2.0に代表されるネット技術には、両者のギャップを埋めるヒントがある。
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