旅の蜃気楼
デファクトスタンダードを再考
2009/02/02 15:38
週刊BCN 2009年02月02日vol.1270掲載
▼デファクトスタンダードについて彼は次のように説明している。母校のロンドン大学を設立した哲学者ベンサムの唱えた「最大多数の最大幸福」をかなえるものが、その位置につく、と。彼はMSXとWindowsの標準化に携わっていた。MSXはなぜ事実上の標準にならなかったのか。それはハードの規格であったからだ。その動向を見て、Windowsというソフトでデファクトスタンダードを完成させた。
▼デファクトスタンダードとは、文化に根付いたものをいう。作法、思想、宗教を伝えるツールがその対象だ。マイクロソフトのビル・ゲイツはこの本質を見抜いていたようだ。アップルのiPodのすごさはハードのデザイン性、ファッション性にあるが、本質的な強さはiTunesソフトの仕組みとその中にある山のようなコンテンツと、iPodの世界的な普及にある。ハードの普及ではソニーのウォークマンが一足先に世界を席巻していたが、ハードが次のファッション性に移行したとたんにその座から滑り落ちた。もし、iTunesの仕組みとコンテンツをソニーが作っていたら、流れは違っていただろう。(BCN社長・奥田喜久男)
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