北斗七星

北斗七星 2009年1月19日付 Vol.1268

2009/01/19 15:38

週刊BCN 2009年01月19日vol.1268掲載

▼「平成生まれ」世代初の「成人式」が全国で行われた。彼らが生まれた1989年は、日経平均株価が現在の約4倍にもなる3万8915円の最高値を付けた。「消費税」もスタートし、「便乗値上げ」の嵐が吹き荒れた年として記憶に残っている。「バブル期」のとば口にあった時期の高騰する株価を見ても、いまとは隔世の感がある。新成人は、経済が乱高下する時代を過ごしてきたのだ。

▼「Stay hungry,stay foolish.(ハングリーであれ、馬鹿であれ)」──。この先数年の「変化の激しい社会」に旅立つ新成人に、この言葉を捧げたい。正月にIT業界関係者がこの言葉を贈ってくれた。希代の名演説家として有名なアップル創始者、スティーブ・ジョブスが米スタンフォード大学の「卒業祝賀スピーチ」(2005年6月)で発した一節だ。

▼ジョブスは、アップルを創業したあと、同社を追われ結婚、ガン宣告、同社復職など、波瀾万丈の人生を経験したことを例に挙げ、先の言葉を発する前にこう述べた。「未来に先回りして点と点をつなげて見ることはできない」。過去を振り返り、バラバラの点であっても将来に何らかの形で「必ずそれがつながる」と力説した。

▼実際の映像は「You Tube」などで視聴できる。未曾有の経済不況下にあって、この名言はIT業界にも染み入る。ジョブスが言う通り、「過去の点(実績)」を「つなぐ」作業が、この厳しい環境下に求められている。
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