旅の蜃気楼

正月にみる各地それぞれの景気

2009/01/12 15:38

週刊BCN 2009年01月12日vol.1267掲載

▼仕事始めの話題は、それぞれが体感した景気だ。BCNの社員の声に耳を傾けてみると――。帰省先の仙台での買い物初めは、支払いができないほどの込みよう。ケーズデンキの店内は相変わらずの繁盛ぶりを示していた。倉敷の風景はこうだ。FMラジオ局「FM倉敷」では、デオデオ店長がDJを務める番組があり、倉敷本店の店内にはDJブースがある。中国地方はデオデオのお膝元ではあるが、そんなことまでやっているのかと、びっくりした。

▼浜松はビックカメラが駅前にできて、賑わっていた。エイデンにも顔を出してみたが、ずいぶんな人出だ。イオンモール浜松志都呂には日系ブラジル人が多く、ポルトガル語が飛び交っていた。九州の様子はどうかと思って尋ねてみた。熊本と博多はなんとなくダメですね、という。楽天的な土地柄の博多だから、威勢よくやってほしいものだ。相模国一ノ宮・寒川神社の初詣は人でごった返すが、賽銭箱は硬貨ばかりで、お札がない。BCN編集部に近い、神田明神も同じような状況だ。そうかと思えば、百貨店の福袋のコーナーは、どこも完売と聞く。景気はまだら模様のようだ。

▼初詣に行くと、晴れ着姿に心が弾む。一方で悩むこともある。根津神社を参拝した折りのことだ。拝殿は広い。その中央に賽銭箱が置いてある。参拝者は賽銭箱に沿って一列に並ぶ。おおよそ4人縦列だ。それがずらりと鳥居あたりまで並ぶ。その脇を通って、賽銭箱の横で、お賽銭を払わないで、拝んだ。それがどうにも、ルールを破っているような気になって、御利益が減るんじゃないかと思い始めている。神社関係者と話す機会があった。「いつごろから並ぶようになったのかねぇ。拝殿に向かってお参りしていただければそれでいいんだけどね」とその人は言う。

▼並んでほしいのはトイレの前だ。あれは、脇からさっと割り込まれると、我慢ならない。神社へのお参りは、脇からでも結構です。早くお参りして、家電量販店でパソコンを購入してください。健全なバランスシートを作るのが難しい昨今だ。我慢すべきところと、そうでないところを見極めて、やるべきことをやり、実りある1年にしたいものである。(BCN社長・奥田喜久男)
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