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M&Aの功罪は

2008/11/24 15:37

週刊BCN 2008年11月24日vol.1261掲載

 競争激化の煽りを受けて起こるのが企業の淘汰。IT業界は再編が続いており、ワールドワイドではM&A(企業の合併/買収)が進む。国内でもSI業界で企業規模の拡大に向けたM&Aの波が押し寄せているようだ。

 ただ、M&Aを実施したくてもそれに適した企業がなければ実現しない。それに、良いことばかりではないのもM&Aの実態だ。一例を挙げれば日本ユニシス。連結売上高として将来的に5000億円規模を目指しており、現在は3000億円規模。できるだけ早く実現するためにはM&Aも一つの手として考えている。しかし、籾井勝人社長は、「考えてはいるが、買えばいいというわけではない」。ネットマークスを子会社化したものの、TOB(株式公開買付)直後にネットマークスによる不正取引が発覚したためだ。「あの時は、ステークホルダーに多大な迷惑をかけた」と振り返る。この教訓からM&Aについては慎重のようだ。日本ユニシスは、M&Aで苦い経験を味わったのだ。


 本社の都合を押し付けられて悪戦苦闘しているケースもあるようだ。ある外資系メーカーの日本法人では、国内販売代理店と揉めている最中に米国本社が買収された。そのため、その日本法人が抱える問題は、販売代理店との決着だけでは済まなくなった。一方、買収した側の日本法人にとっては、厄介な問題を抱えたメーカーを米国本社が買収してしまったと思っているかもしれない。

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