旅の蜃気楼
コンテンツに「自由」を求める人たち
2008/08/11 15:38
週刊BCN 2008年08月11日vol.1247掲載
▼パソコン、英語、デイパック。これがCCパーソンに共通した要素だ。パソコンをザックに入れて、世界中を旅する。ネットの中でも、行く先々でも地元のネットワーカーに会って、コミュニケーションする。彼らに共通するキーワードは、「グローバル」「フリー」「オープン」だ。だからCC族は、オリジナル・コンテンツをネット上に公開して、自由に使ってもらう主義を貫く。ここでいう自由とは何か。「どこかの誰かが読んだり見たりする自由と、ほかの誰かに配ったり見せたりする自由、そしてそのためにコピーする自由のことです」という。これは青空文庫の主催者・富田倫生さんと一緒に活動している翻訳家・大久保ゆうさんが、CCの趣旨を解説した文章だ。
▼CCの活動は46か国に及ぶ。世界大会は4回目。海外から150人、東京から100人、地元札幌から250人が参加した。なぜ札幌開催なのか。前回の大会に札幌市役所企画部長・井上力さんが参加した。井上さんと顔見知りの札幌市立大学教授・武邑光裕さんがクリエイティブ・コモンズのCEO・伊藤穣一さんと顔見知りなことがきっかけだそうだ。不思議なことに面識のある札幌のソフト会社の方々の顔が会場に見当たらない。そう気づいた瞬間、30年前のパソコン業界の黎明期に似ていると感じた。かつてのパソコン業界のイベントにメインフレームやオフコンの業者の方々は見当たらなかったからだ。
▼CC族は自分のコンテンツをフリーにすることで、次のコンテンツを生み出す文化と技術を生み出そう、と語りかけている。活動の中核は法学者で提唱者のローレンス・レッシグ先生。彼は語った。「人が聞きたいことを提供するのではなく、正しいと思うことを世に問う」。リンカーンに共鳴した先生の言葉だ。あなたはCCの考え方をどう思いますか。(BCN社長・奥田喜久男)
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