旅の蜃気楼
梅雨空の下、紫陽花と中国の友人と
2008/06/09 15:38
週刊BCN 2008年06月09日vol.1238掲載
▼中国の友人と会った。半年振りだ。毒餃子事件、中台問題、チベット問題、胡錦濤国家主席の訪日、日韓米の安全保障、ミャンマーの水害、四川大地震、オリンピック施設「鳥の巣」の完成は間に合うのか、などといった積もる話をした。「餃子はもう食べても安心ですよ」と笑いながら言う。「なぜなの?」「5月から週に2回、品質管理のチェックが入る制度ができたから。さらに税関でのチェックがある。もう大丈夫。餃子は重要な輸出商品だから中国にもショックな出来事だよ」。餃子は大好きだ。今晩さっそく食べよう。「チベットの問題を理由に聖火を妨害したでしょ。あれは中国人のナショナリズムを煽ったよ」。そんなこんなで話は尽きない。
▼「胡主席の訪日は中国ではどう受け止められているの?」「友好のパフォーマンスに尽きるね。それにしても5日間もの滞在は異例だ」。しだいに会話は熱を帯びてきた。「台湾問題はどう?」「急速な進展はないと思う。韓国も新しい李明博大統領が就任した。早々に訪米、訪日して日韓米の安全保障を確認した。あれは中国にとって脅威だ」「だけど、東アジアのパワーバランスと経済発展を図るためには歓迎すべきことだよね。ところで、これからも反日の教育方針は続くのだろうか」「続く。テレビでは毎日、悪い日本軍の映画が放映されている。これはよくないね」。どうもこの辺で、お互いに疲れてきた。「さて、餃子でも食べに行きますか」「いやいや、お寿司が食べたいな」。次回は年末に会う約束をした。素敵な仲間はすばらしい。(BCN社長・奥田喜久男)
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