北斗七星

北斗七星 2008年3月10日付 Vol.1226

2008/03/10 15:38

週刊BCN 2008年03月10日vol.1226掲載

▼携帯電話業界が揺れている。販売奨励金の見直しによって、11月から最新モデルの価格体系が改められた。分割払いやポイント制の導入など、料金体系が急激に変わったためか、ユーザーにとまどいが広がっている。その影響もあって、量販店での販売台数は11月以降、4か月連続で20%から30%の大幅な前年割れだ。ゼロ円端末が堂々とまかり通っていたことを思えば、買い換えにブレーキがかかるのもやむを得ない。

▼それにしても各社の新料金制度は実にわかりにくい。キャリアによって料金体系がばらばらなうえに、制約条件なども小さな文字でしか書かれていないために、単純に料金を比較することができない。メーカーの思惑ばかりが先行した消費者不在の拡販合戦は、この業界の悪しき慣習らしい。

▼三菱電機が撤退を表明した。業界再編はこれからが正念場だろう。そもそも国内でしか通用しない独自規格でメーカーを囲い込んできたキャリアの責任は重い。販売奨励金と引き替えに自由競争を阻害してきたやり方は、かつての護送船団方式そのものだ。狭い国内市場に十数社のメーカーがひしめきあう市場は、海外勢にとっては絶好の草刈り場。米国では携帯電話の負け組であるディズニーの日本市場参入に続いて、iPhoneの進出も秒読み段階に入った。これを契機に再編が加速するのはやむを得ないが、「黒船来襲」がケイタイ産業の閉塞状況に風穴を開け、新しい競争環境をもたらすことを期待したい。
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