北斗七星

北斗七星 2008年2月4日付 Vol.1221

2008/02/04 15:38

週刊BCN 2008年02月04日vol.1221掲載

▼例年だと成人の日の翌日、新聞を開くのがちょっとした楽しみだった。年賀はがきのお年玉当選番号である。末等の年賀切手シートすら当たらなかったこともあるし、これまでの最高当選はレターセットにとどまる。それでも楽しみにしている人は少なくあるまい。それが今年は1月27日になった。

▼その年賀はがきをきっかけに、古紙使用率をめぐって国内製紙メーカーのほとんどが偽装していたことが発覚した。品質を優先したというのがメーカーの言い分だが、「再生紙」と名乗れば価格を高く設定できる利益優先の考えがあったことは疑いを禁じ得ない。

▼だが、製紙メーカーのみを責めるのは理屈に合わない。技術的な難易度やメーカーの生産能力を精査せず認定してきたのは誰なのか。机上の空論を振り回すお役所仕事が指弾されないのはおかしな話だ。「環境に優しい」という理由で過剰に支払われた予算は国民の血税なのだが、お役所は被害者面で居直っている。

▼年賀はがきをめぐるもう一つの話題は、日本郵便が大々的に展開した「年明け年賀」キャンペーンだ。新年の三が日に賀状を書くのが本来の姿とはいえ、松の内が明けても年賀状を売るのは、誰が考えても常識外れ。テレビCMなどに60億円も無駄使いしたあげく、新品の年賀はがきを大量に破棄することになる。製紙メーカーと同様、経営者の責任が問われて当然だが、常識は通じそうにない。規制緩和と環境対策だけが錦の御旗では困ったものだ。
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