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ガラパゴス症候群

2007/12/17 15:37

週刊BCN 2007年12月17日vol.1216掲載

 金融業界を中心に大型のシステム開発が相次いできた。日本の金融業は特殊で、海外のパッケージソフトウェアは適用しにくい。それだけにゼロからスクラッチで開発する需要が根強く、国内情報サービス産業はこれまでずいぶん潤ってきた。

 特殊な用途に、特殊なソフトを開発し、日本の特定顧客にしか通用しないソフトをつくる。こうした現象はガラパゴス諸島で独自の進化を遂げた動植物になぞらえてガラパゴス症候群と揶揄される。

 大航海時代、適応能力旺盛な動物が人為的に入ってくると、その環境変化に耐えられず絶滅する動物が多かったことでも有名な島である。

 日本の携帯電話業界でも、通信キャリアとハードメーカーが一体となって、自分たちの居心地のいい環境をつくってきた。その結果、特殊になりすぎて海外に出られず、逆に海外からも入ってこれない閉鎖的な環境になった。

 ソフト業界は、マイクロソフトやSAP、オラクルにとどまらず、SaaSやSOAなど欧米から次々と新しい商材が入ってくる。これからはインド、中国からも上陸してくるだろう。生き残ったのは「強い者でもなく、賢い者でもない。変化に対応できた者だ」──。

 日本の情報サービス産業もガラパゴスの動植物と同じ運命をたどらなければいいのだが。(寶)
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