旅の蜃気楼

膨張に次ぐ膨張、中国の街並み

2007/12/10 15:38

週刊BCN 2007年12月10日vol.1215掲載

【上海発】中国・上海に出張した。1か月前、香港を訪れた際には短期間での街の変貌ぶりを目の当たりにし、「中国本土にも行ってみたい」と考えていた。観光目的ではないのだが、街の雰囲気を味わうことができると、胸が躍る。上海には2000年以来の訪問だ。7年という歳月の経過が、中国をどのように変貌させているのか。おおいに興味をそそられる。

▼中国の飲食店では注文してから出てくるまで、かなりの時間を待たされる。「オペレーションがしっかりしていないからなのか、店員にやる気がないからなのか」。7年前はそう思っていた。実際、食事ではイライラさせれた記憶があったからだ。ところが、今は全く違う。注文を受けてからの店員の対応が早いのだ。接客も7年前とは異なる。円卓の食べ物を取り分けたり、飲み物を注いでくれるサービスは以前の“ぶっきらぼう”な対応が一変し、今は丁寧な応対へと変わっていた。日本の接客サービスは世界でも最上級の水準だ。あんなにひどかった中国の接客も、いまや日本に勝るとも劣らない。

▼浦東新区を訪れた。黄浦江と長江河口部に挟まれた地域で、開発以前は原野が広がっていたと聞いた。そのような雰囲気は今は微塵もない。東方明珠広播電視塔(テレビ塔)があって観光の名所。週末には観光客だけでなく現地の家族連れや若いカップルなどで混雑している。夜は、テレビ塔や周囲のビルがライトアップされ、ゴージャスな夜景が楽しめる。香港でいえば、「100万ドルの夜景」、日本でいえば「レインボーブリッジ(お台場)」「ベイブリッジ(横浜)」といったところか。

▼「せっかくだから」と、テレビ塔にのぼってみた。展望台で景色を眺めると、黄浦江沿いには超高層ビルが立ち並ぶ。まだ建設中のビルもあちこちにある。すべてが竣工したら、一体どうなるのか。中国の果てしなさを知った。[つづく](週刊BCN編集部・佐相彰彦)

 中国に新石器時代が始まったのはBC5000年。なんとも古い国だ。その中国の歴史にあって7年の変化はいかほどか。1000年とはいい過ぎだろうか?(BCN社長・奥田喜久男)
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