BCN FORUM

小口発注モデル、総論賛成だが…

2007/11/19 15:37

週刊BCN 2007年11月19日vol.1212掲載

 大手ITメーカーへの“丸投げ”発注を見直し、システム開発を小口で分割発注し、地場ITベンダーの参入を促すことで一躍有名になった長崎県庁の「ながさきITモデル」。県財政が厳しさを増すなか、同モデルを適用することで、県の年間IT調達費を36億円から18億円に半減することに成功した。

 しかし、地場ITベンダーは「総論賛成、各論反対」の立場という。某ベンダーの社長は「IT調達費が減ったことは、地元IT業界の売上高も減ったということ」。一般企業向けのシステム開発で収益を望みにくい土地柄で、自治体や公共向けの案件が減ることは、IT産業の停滞をもたらすと懸念を表明する。

 それだけではなく、「ながさきモデル」でのIT調達費は確かに半減したが、いまだに「随意契約」が多く存在しているというのだ。

 先の社長は「随意契約の中身も公表してほしい。削減できたのなら、その分を地場IT業界の人材育成研修費に還元してほしい」と要望する。

 「ながさきモデル」は、徳島県庁が導入を決定し、第3の候補地も浮上している。導入先が10県でも増えれば、同モデルのアプリケーション開発をした長崎県の地場ITベンダーは、導入や保守・サポートで新たな収入を得られる可能性がある。地元では、唯一、そこに期待を寄せている。(吾)
  • 1