北斗七星

北斗七星 2007年10月29日付 Vol.1209

2007/10/29 15:38

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

▼「SaaSビジネス」が日本市場で花開きそうだ。この分野で老舗のセールスフォース・ドットコムは、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いである。SaaSは、経済産業省など国をあげた取り組みになった。同省の幹部にSaaSへ傾注する理由を尋ねると「外資系ITベンダーのデータセンターに日本企業の基幹データを取られる。安全保障上の問題」を理由の1つにあげていた。稚拙な見解だが、普及を後押しする論には違いない。

▼経産省がITベンチャー育成のあり方を協議するため昨年1月に立ち上げた「Vivid Software Vision研究会」の報告書が、このほどまとまった。それによると、全産業に占めるITベンチャーの開業率は、10%弱。これに対し、米国は常に15%以上。日本が米国にひけをとるのは、「ビジネスの目利きができる人材の不足」が要因といえる。

▼セールスフォースは、米オラクルからスピンアウトした幹部が創業。同社が成功したのは、事業コンセプトが「金になるかどうか」を判断できるコンサルティング会社の「優秀な目利き」がいたからこそである。

▼日本のITベンダー、リアルコムは、次代のソフトウェアを開発するため、公募者を米シリコンバレーのキャピタリストと引き合わせる活動を開始した。それはそれで意義深いが、国内で実績をあげたIT成功者が、退職後にでも、こうした活動を展開してくれないだろうか。このままでは、経産省の言う「安全保障」の達成は永久にできない。
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