北斗七星

北斗七星 2007年10月22日付 Vol.1208

2007/10/22 15:38

週刊BCN 2007年10月22日vol.1208掲載

▼「コンピュータを中心としたIT産業は終わりを迎える」と、業界にとってショッキングな論を展開するのは、原丈人氏。話題の書『21世紀の国富論』を著し、時の人となった同氏のインタビューは10月8日号に掲載したが、彼が言わんとするところは、「コンピュータはコミュニケーションツールに適していない。あまりにも使いにくいからだ」というところにある。電源を入れてから立ち上がるまでにイライラするほど時間がかかる、突然固まってしまうというような経験は誰もがしているはずだ。パソコンが、職場だけでなく家庭にまで浸透して久しい。だが、これほど扱いにくい家庭電器はほかに見当たらない。

▼操作を難しくしている要因として、よくヤリ玉にあげられるのは、機能が多すぎるということ。何でもできるという特性が裏目にでているのだ。仕事でも家庭でも、頻繁に使うのは、ワープロ機能、インターネット、メールくらいなもの。その他大勢の機能をOS経由で立ち上げようとするから時間がかかってしまう。例えば個別機能専用のボタンから電源を入れると、文書作成機能だけがスタートアップするといったような仕組みは作れないものだろうか。

▼ずいぶん前のこと、通勤電車の中で、中年のサラリーマン同士がぼやいていた。「やっとワープロを覚えたと思ったら、今度はパソコンだって。ワープロより何倍も難しいらしいから、いやになるよ」。そのシーンが、今も鮮明に目に浮かぶ。
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