「5億ドルの買い物をしてもなお、わくわくしている男を見て不思議に思えるのでは？」。米ソフト開発大手シトリックス・システムズのマーク・テンプルトン社長は、9月上旬の来日会見で朗らかに言い放った。

　8月にOSS（オープンソースソフト）方式で仮想化ソフトを開発するゼンソースの買収決定を受けての発言。大きな買い物だけに何を狙ったものか推し量れないでいる記者を前にわたしは正気だと言わんばかりである。

　仮想化に並々ならぬビジネスチャンスを見いだしている証しだが、一方でソフトで先行する「ヴイエムウェアと資本提携を結ぶ選択肢はなかった」ときっぱりと言い切る。「中核となる技術は自社で所有すべきもの」と、ビジネスの本命は仮想化にあるとみる。

　今後はOSSコミュニティを尊重し、CPUやサーバー、OSなど有力ベンダーと良好な関係を保ちながらゼンソースをより発展させていくという。

　一時はヴイエムウェアの独走かと思われた仮想化業界だが、シトリックスの参入で役者が揃った。国内ベンダーがいまだ晴れの舞台で主役を張れないのが残念ではあるが。（寶）