北斗七星

北斗七星 2007年9月3日付 Vol.1201

2007/09/03 15:38

週刊BCN 2007年09月03日vol.1201掲載

▼8月27日、第2次安倍内閣が発足した。組閣の顔ぶれをみると閣僚・党三役に派閥領袖クラスの大物を配置して党内で噴出した批判の封じ込めをねらった内向き内閣と受け取られてもやむを得ない。支持率が20%の前半まで下がり、事実上、レームダック状態の政権を浮揚させることができるとすれば、思考を180度回転して、国民に顔を向けるしか方法がない。不祥事が相次いだお友だち内閣の総括を示さず、言葉だけの「人心一新」で、年金問題やテロ特措法を乗り越えられるのか。

▼本紙の視点に立てば、要注目は甘利経済産業相、伊吹文部科学相が留任、総務相に前岩手県知事の増田寛也氏といったところだが、前内閣に引き続いて特命大臣の所管に「IT」の文字はない。Linuxのインストールぐらいお手のものという与謝野馨氏が官房長官としてニラミを利かせてくれるかもしれないが、政策遂行に情報システムが大きなウエートを持つ厚生労働省や金融・行政改革、ITの利活用が必須の環境、経済財政、少子化を担う閣僚をみると、一抹の不安が残る。

▼個々の現実的な政策ばかりでなく、向こう10年の「この国のかたち」を見据えるのも政治の役割だ。情報化を含めて、これまでの価値観で突き進むことが「この国」に住み暮らす人々をより豊かに、より幸福にするのか、明るい将来を切り開くには何をすべきなのか、就任時に掲げた「戦後レジームからの脱却」をより鮮明にして議論してほしいものだ。
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