旅の蜃気楼
式年遷宮、千二百年継続の重み
2007/05/21 15:38
週刊BCN 2007年05月21日vol.1187掲載
▼さて、建て替えのためには膨大な木材と、古式に基づいた宮大工の技術が必要だ。建て替えのための木材は、木曽の御嶽山にある神宮林で育てられた専用の檜を使う。伊勢には内宮、外宮の正宮のほか、別宮、摂社、末社、所管社に属した125のお社があって、“遷御”の儀式以降から、すべての社を順番に新しく建て替える。実に息の長い祭りだ。そのため、伊勢神宮の内宮、外宮ともに神域の一角には大きな製材所があって、宮大工も含めて専門の職員がいる。伊勢神宮を表からみると神職ばかりが目につくが、式年遷宮を1200年も続けることができるのは、こうした事業継続の仕組みがあってこそだ。“遷御”に先駆けて宇治橋が架け替えられる。御正殿に納められる宝物も、そっくり新しくなる。刀も衣服もだ。その職人も1200年前から技術を継続して現在に至っている。
▼伊勢神宮の御神木は、「エンヤ、エンヤ…」の掛け声で動く。御神木は伊勢市民と、事前登録した一般参加者(1日神領民と呼ぶ)が運ぶ。この行事は“御木曳き”といって、20年のうち、2年間だけ行われる。5月12日、この御木曳きに参加した。写真の木材は内宮の棟持柱になる。御木曳きは「おきひき」と読みます。くれぐれも「おきびき」とは読まないで。御木曳きとの出会いは18歳の時だった。次回も参加してみよう。長生き、長生き…。(BCN社長・奥田喜久男)
- 1