旅の蜃気楼
月の砂漠からビジネスの舞台へ
2007/05/07 15:38
週刊BCN 2007年05月07日vol.1185掲載
▼安倍首相の海外訪問は、中国が就任直後の最初の国だった。そして先ごろアメリカ、中東諸国の順で訪問した。中東訪問は、サウジアラビア、UAE、クウェートと続いた。産油国の歴訪だ。日本が輸入する石油の30%はサウジ、25%はUAE。クウェート8%。石油エネルギーの90%は中東に依存しており、日本にとってこれほど大切な国はない。その割には砂漠をラクダの背に揺られながら三日月を仰ぐ隊商の行列、アラジンの魔法使いと半月刀、日本赤軍の活動舞台くらいしか思い浮かばないのは誠に申し訳ない。GCCは2010年を目指して通貨の統一を進めている。イスラム金融も5000億ドルから8000億ドルといわれる。ドバイの繁栄ぶりは私たちもよく知っている。
▼中東の実情を紹介するイベントとして、「UAE─日本ビジネスフォーラム」が4月24日から26日にかけて、有楽町の東京国際フォーラムで開催された(写真)。みずほコーポレート銀行・中東拠点整備委員会の大高由紀夫委員長がパネラーとして語った。「カントリーリスクは確かにある。事件がニュース報道されるとその部分のみが強調されて不安定感が広がる。UAEに赴任して3年になるが、中東の安定度は体で実感した。経済発展も著しい。日本企業の進出をさらに促していきたい」。経団連の御手洗冨士夫会長の姿も見えた。IT企業も、次は中東詣でが必要ですね。(BCN社長・奥田喜久男)
- 1