旅の蜃気楼
「ウリ」の世界と「ナム」の世界
2007/04/23 15:38
週刊BCN 2007年04月23日vol.1184掲載
▼この10年を振り返ると、台湾から韓国へ。そして中国へ訪問先が推移している。その間にインドがあって、パスポートの入国スタンプは、経済発展の流れそのものを反映している。数年前、JALの機内誌だったと記憶しているが、「韓国の人は本が好きで、いろんな形態の書店ができている」という記事を読んで、意外な感じがした。韓国ではアマゾンのようなネットショッピングで本を買って、書店は影が薄いのかと思っていたからだ。先日の旅で、ソウルの中心街にある書店を訪れた。いやはや、すごい大きさです。熱気むんむんの混雑ぶり。夢中になって立ち読み(というより、座り読み)をする人もいるほどだ。
▼本紙4月9日号で、日韓IT経営協会会長の吉川良三さんが、韓国は『理の世界』、日本は『気の世界』と話しておられた。面白い分類の仕方だと思って興味をもっていたら、「朝鮮民族を読み解く」(古田博司著、筑摩書房刊)に、理と気の世界が詳しく載っていた。韓国には「ウリ銀行」がある。ウリとは身内(仲間)の意味。他人はナム。ウリは「理と気の世界」を共有し、ナムとは「理の世界」で存在する。そんな印象をもった。では台湾の人はというと、いつでも「理と気の世界」が混在しているように感じる。韋さん一人の人柄だけではないように思う。お国柄で理と気の出し方が違うようだ。旅は人との出会いが楽しみだ。今年は久しぶりに「コンピュテックス台北」に出かけてみよう。(BCN社長・奥田喜久男)
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