北斗七星
北斗七星 2007年3月12日付 Vol.1178
2007/03/12 15:38
週刊BCN 2007年03月12日vol.1178掲載
▼この二つの会社の経営者の戦略で共通しているのは、「ロボットに任せるのは、あくまで大衆品であって、嗜好性の高い高級品は職人の手に頼っている」という点だ。チャップリンが映画「モダン・タイムス」で演じたような、“人間の尊厳が失われ、機械の一部分のようになっている世界”は、そこには存在しない。人間(職人)が主であることをよく知ったうえでのロボット導入なのだ。
▼警備保障業という日本初のビジネスモデルを確立させたセコムの創業者・飯田亮氏は、社業が順調な時にあえて社内の猛反対を押し切って機械警備の導入に踏み切った。彼を突き動かしたのは、「機械にできるような仕事を人間に強いるのは、人の尊厳を失わせること。それだけはしたくない」という思いだったそうだ。若い人材に敬遠されがちになってしまったIT業界だが、「人間としての尊厳」を大切にする環境が整えば、人気業種に返り咲くことも、そう難しくはないはずだ。
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