旅の蜃気楼
ネットの中に感じる「気配」
2007/02/26 15:38
週刊BCN 2007年02月26日vol.1176掲載
▼井上さんの開発テーマは、人と人のつながりをネットの中で再現しようとするものだ。人の社会で普通に行われていることは、すべてネットの中で再現できる、と確信しているふしがある。彼は不思議なことを言う。「ネットの中には人が行き来している。人に気配があるように、ネット内でもその気配が感じられるはずだ」。なるほど、そうかもしれない。では気配って何だろう。“五感”を超えた“六感”あたりの話題を持ち出さないと、つじつまが合わないことになる。
▼1980年代前半の出来事を思い出す。当時はパソコン時代の黎明期。どの会社も、パソコン事業の関係者は、“夢”見がちな人ばかりだった。そうした開発者の一人が語った。「切羽詰っているときに、パソコンがどうしても動かないんですよ。困り果てたあげく、近くにあった神社にパソコンを持ち込んでお祓いをしてもらった。動きましたよ。ほんとに動いたんです」。不思議な話なので、何度も問いただしたが、あまりに真顔なものだから真偽のほどは決着をつけないまま、今に至っている。この神社は東京中野にある氷川神社だ。この話を聞いて、参拝に行ったので記憶に残っている。いい感じのお社だった。ご祭神は須佐之男命。この神様はネット時代にご利益があるのかしら。いい感じとは“気配”でもある。この力はいったいどこから湧いてくるのだろうか。(BCN社長・奥田喜久男)
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