北斗七星

北斗七星 2007年1月22日付 Vol.1171

2007/01/22 15:38

週刊BCN 2007年01月22日vol.1171掲載

▼何とも不思議である。食品加工品の製造過程で、不二家とミスタードーナツの不祥事が相次ぎ判明したが、両社の命運が大きく分かれたのだ。不二家は消費期限切れの原料で洋菓子を製造したことを隠蔽。社長が引責辞任し、経営危機に直面している。一方のミスドは、商品に小石が混入したが、「目視点検に加え、電動ふるい機を導入する」との対策を打ち、同社に関する報道も消沈した。

▼ヒトの口に入る商品は、食中毒などを起こし、死者を出す恐れもある。それだけに、徹底した製造管理が求められる。不思議?というのは、ミスド製品の異物混入は、これが初めてではなく、幾度にものぼる。確かに親会社・ダスキンによる事故発生の公表は迅速だったが、本来はバッシングの矛先は不二家以上に向くべきであろう。

▼死亡事故を起こした製造物は、食品類に限らない。温風暖房機、給湯器などの事故が頻発したのは記憶に新しい。パソコンの電池が燃えた件も、ひとつ間違えば大事故につながっていた。事故をゼロにするのは不可能であろうが、製造過程の改善により、最小限に食い止めることはできるはずだ。今や「モノづくり日本」の名声は地に落ちつつある。

▼日本の人口は減少の一途で、製造現場の人員不足はさらに深刻になっていくことが予想される。「人間系」のパワーは手薄になり、チェック体制が甘くなる。人手のかかる部分を最小限にとどめ、効率化できる部分をいまこそIT化すべきである。
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