北斗七星

北斗七星 2007年1月15日付 Vol.1170

2007/01/15 15:38

週刊BCN 2007年01月15日vol.1170掲載

▼成人の日が1月の第2月曜日となった恩恵で今年は長期の年始休暇となった。が、肝心の成人式は目を覆うばかりの惨状だ。式典で酒を飲んで暴れ、逮捕者が続出する。成人の自覚もなく抱負もなしという若者ばかりでは、先が思いやられる。

▼成人の年齢を18歳に引き下げるという法律改正案が議論されている。確かに検討の余地はありそうだ。国際的には18歳=成人が主流だ。その時点で、社会人としての自覚を求めるというのは理にかなっている。成人にしろ未成年にしろ、人としてあるべき姿の基本は変わらない。学校で相次ぐいじめ問題、ニートの大量発生、若者をめぐるさまざまな問題の背景には、自己責任を問おうとしない大人たちのご都合主義が大きく影を落としているように思える。

▼たとえば、定職に就かない無職の若者たちを、フリーターと名づけたのは、彼らをビジネスの対象とにらんだアルバイト情報誌だ。テレビや雑誌がそれにのって、流行のライフスタイルのごとくはやし立てた。生活の基盤がない若者に、本来、人生のスタイルなどあるはずもない。にもかかわらず、耳障りの良い言葉で彼らを甘やかし、都合のいい臨時雇いとして利用してきたつけが、年金保険料の未納問題や格差問題という社会の病巣にまで拡大している。

▼自己責任や能力主義といえば身につまされる話だが、わが子が落ちこぼれないためにも、社会の実態がいかに厳しいかを説き続けることが父親としてのせめてもの務めかもしれない。
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