旅の蜃気楼
グーグルアースは今様“火の見櫓”
2006/12/18 15:38
週刊BCN 2006年12月18日vol.1167掲載
▼青梅、奥多摩は都心から遠い。東京駅から中央線、オレンジ色の電車で2時間はかかる。ところが、日の出山の山頂からは都心のビルの林立風景がとても近く感じる。左手には筑波山を見て、右手には横浜のランドマークタワーまで両手を広げた扇の形で一望できる。次に身体を反転する。すると、そこには見渡す限り山並みが続く。青梅、奥多摩の尾根を歩くと甲州、武州、信州につながる。その山を甲武信岳という。西に歩くと甲州、信州へつながる。北に尾根を歩くと秩父から武州につながる。尾根によってはとんでもなく近道ができる。ここは交通の要所なのだ。
▼この山域には大きな神社がある。三峰神社、秩父神社だ。神社は人の往来が頻繁で、情報収集の基地となる。時の武将が権力の象徴として鎧を奉納した場所だということがうなずける。現代はというと、グーグルアースがあれば、24時間監視できるから、火の見櫓的な日の出山の出番はない。携帯やネットがあればどこからでも情報伝達ができるから、わざわざ尾根を歩かなくてもよい。御岳山は、今では中高年が気軽に景色を味わう見晴らしのいいハイキングの場所だ。時代が変わると役割も変わる。
▼下山して立川の昭和記念公園を訪ねた。光の祭典「Winter Vista Illumination」を見た。 “Vista”という名前が気になり寄ってみた。木立が続く広々とした公園だ。イルミネーションで彩が鮮やかだった。入場料400円なり。クリスマスの思い出づくりに最適だ。価値あり。
▼この1年間のご愛読ありがとうございました。次回は新年号です。(BCN社長・奥田喜久男)
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