旅の蜃気楼
各地の祭り、それぞれの趣
2006/12/11 15:38
週刊BCN 2006年12月11日vol.1166掲載
▼曳山祭りの代表格は京都の祇園祭りだ。21歳の時に見た。人を掻き分けて曳山(鉾)を見た。大きな鉾をゆっくり引き回す様子はあまり感動しなかった。なんとものんびりした元気のない祭りだと感じた。これが雅の祭りかと納得して、細い路地をめぐった。こちらは楽しかった。路地をきょろきょろすると、いろんな発見があった。祭りの人ごみに時々ぶつかりながら、一日中、歩き回った。
▼岐阜の高山祭りは37歳で見た。岐阜出身なのに、高山祭りを見たことがなかった。それを知った取材先の企業が高山祭りの前日に講演会を開いてくれた。春と秋があって春は日枝神社、秋は桜山八幡宮である。春の祭りを見た。疏水のような川に沿って、整った街並みが続く。風情がある。…どうも地元贔屓をしているようだ。
▼話を秩父に戻す。奥武蔵から秩父の山域を登り詰めて8年になる。どこから見ても武甲山は見える。その山頂には雪の降った時に登った。美しかった。そこに御嶽神社がある。秩父夜祭には武甲山の男神と秩父の女神が出会うという。粋な話だ。武甲山は秩父の霊山と表記してある。夜祭の花火は武甲山を背にして上がる。明け方になると武甲山が姿を現す。山の中ほどから上にかけてざっくり削り取られている。なんとも無惨な姿なのだ。やってはならないことがある。(BCN社長・奥田喜久男)
- 1