北斗七星

北斗七星 2006年12月4日付 Vol.1165

2006/12/04 15:38

週刊BCN 2006年12月04日vol.1165掲載

▼お台場近辺の再開発が急ピッチで進んでいる。この半年の間に銀座から直線でビッグサイトや有明コロシアムまで結ぶ道路が2本も開通した。道ばたには「2016年東京オリンピック選手村予定地」と気の早い標識が掲げられている。競技場予定地の近くには大規模ショッピングモールが出現した。休日ともなると買い物客が押し寄せる。

▼夢よもう一度。オリンピックの開催地決定は3年後だが、建設ラッシュは早くも本番だ。1964年の東京オリンピックは高度成長期のど真ん中だった。今回の五輪招致には、あの時代の再来を望む心理が働いている。

▼東京オリンピックは、情報化の歴史とも縁が深い。この時、世界で初めて競技結果をリアルタイムで処理できるオンラインシステムが構築された。翌年から銀行に転用され国内初のオンラインバンキングが実現する。

▼今年創刊40周年を迎えた『情報化白書』の誕生もこの時期だ。70年代から80年代の記事に目を通すと、当時のコンピュータ産業の熱気が克明に伝わってくる。技術的にも世界の先端に伍していた。互換路線でIBMの後塵を拝していただけではない。白書で国産技術の優位性を提唱し続けてきた石井威望編集委員長は、40周年の記念講演で、「時代はデジタルから量子化へとジャンプし情報化の歴史が変わる」と檄を飛ばした。70歳を超えてなお時代に先駆ける精神は若々しい。歴史上でみれば40年などは一瞬だ。あの時代はけっして遠い過去の遺物ではない。
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