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NECへの監査は“抜き打ち”?

2006/12/04 15:27

週刊BCN 2006年12月04日vol.1165掲載

 「統計学的な手法を用いたが、われわれの力およばず、専門家に任せた」 当初の予定から遅れること1か月。2006年度(07年3月期)中間期の連結決算を発表した席上、NECの的井保夫・専務取締役は、米国証券取引委員会(SEC)へ提出する書類作成の進捗状況をこう説明し、米ナスダック上場維持に向けて専門家の力に頼るのが賢明だとした。

 同社は米国の会計監査で、IT関連の保守・サポートサービスに関する監査が厳格化した影響を受け、監査法人から追加資料の提出を求められたが、いまだできずにいる。

 その精査を必要とする資料は10万件単位という。現在は、米コンサルタントに委託し、取引価格の調査作業を急いでいる。だが、現在までSECに対して、06年3月期の年次報告書が提出できていない状況だ。

 事の発端は、100%子会社のNECエンジニアリングの従業員による架空取引が発覚したことにある。この事件自体は、従業員個人の不正で、組織的な犯罪ではなさそう。だが、SECからは、この件を含め「保守・サポートサービスの公正価値に関する販売者特有の客観的証拠(VSOE)に関するデータの監査手続き」をするよう求められた。

 業界内では、「SECの抜き打ち検査だ」とする声もある。ただ、米国の株式市場に公開するITベンダーに“飛び火”する恐れは、あり得ないわけではない。
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