北斗七星

北斗七星 2006年11月27日付 Vol.1164

2006/11/27 15:38

週刊BCN 2006年11月27日vol.1164掲載

▼西武ライオンズの松坂投手のメジャーリーグ移籍に、ボストンのレッドソックスが約60億円で交渉権を獲得した。ソフトバンクがダイエーからホークスを買い取ったのが50億円というから、レッドソックスの提示額は異例中の異例。それが「プロの世界」というものなのだろう。

▼同列に比較はできないが、情報サービス産業も「プロの技術者集団」を標榜している。その意味で考えると、業界でいう「プロ」は「専門家」を意味するにすぎず、給与や待遇に結びついていない。それは社員ばかりでなく、当の企業にもいえることだ。ITの専門会社といいながら、企業価値は低い。

▼特定サービス産業調査によると、情報サービス業の従業員1人当り売上高は2500万円を超え、単純に比較するとトヨタ自動車より高い。年収1000万円超の技術者がゴロゴロいておかしくないが、実態をみると給与水準は世間並み。人月単価の時間割で残業代がつくのでダラダラ残業が恒常化し、企業はこれではたまらんと残業の足切りで対応する。結果、サービス残業が蔓延する。

▼プロを自認するなら「仕事が終わるまでが仕事」、収入は年俸制というのが当然だろうし、社員が会社を移ったりするルールがなければならない。経済産業省が推進するITスキル標準は、システム開発の契約や積算を人月単価から一括受注に転換し、技術者の給与を月給制から年俸制にシフトする手立てでもあるが、併せて業界のコンセンサスづくりが必要だ。
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