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ドイツ国民は「性善説」?

2006/06/26 15:27

週刊BCN 2006年06月26日vol.1143掲載

 ドイツ国民は「性善説」に立っている。「2006FIFAワールドカップ」で「オフィシャルITパートナー」の東芝現地法人担当者に取材するなかで、こんな興味深い話を聞いた。

 主要都市のひとつフランクフルト内の鉄道は、改札口がない。車内検札が来ない限り、切符を持たない無賃乗車はおとがめなしだ。国際空港の手荷物受取場も一般人が入れてしまう仕組みになっている。「キセルはしない、盗まない、という性善説に基づいている。勤勉、真面目という国民性の現れ」と、1か月前に着任した東芝システム欧州社の情報システム担当、田中隆介・部長附も驚く。

 ドイツの企業システムは、世界的な企業と同様にコンプライアンス(法令遵守)を重視し、セキュリティなどの機能を堅牢に築いている。だが、日本のように情報漏えいを恐れギスギスした利用環境ではない。「漏れるはずがない」と、メール送信時には添付ファイルなどに気を遣わないという。

 ドイツでは「情報漏えい事件」の話題がメディアを賑わすことはほとんどない。事件がゼロではないはずだが不思議である。

 日本は米国に倣って「SOX法」や内部統制を強化してきた。強化する余り、システムの使い勝手が悪くなっているという指摘も多い。だが、何かをきっかけに、ドイツ企業の感覚が見直される時がくるだろう。
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