北斗七星

北斗七星 2006年6月12日付 Vol.1141

2006/06/12 15:38

週刊BCN 2006年06月12日vol.1141掲載

▼ネットの通販サイトでは、意外な商品が売れ筋にあがる。BCNランキングのPOSデータでは高額なページプリンタが、ネット経由で全体の3割近くも売れることがある。店頭に並べたのではコストがかさむが、ネットに掲示しておけば在庫リスクなく一定の売り上げが積み上がる。ロングテール理論の見本だろう。売り方にも新しい業態が出始めている。

▼ネットの和服リサイクル店が人気だという。ほとんど袖を通さないまま、箪笥の奥にしまい込まれていた新品同様の上物が、元値の十分の一以下で手に入るという。蒲田にあるネット系のリサイクルショップをのぞいてみた。舞台裏の衣装部屋といった雰囲気だが、お客はネットに縁が深いとは思えない50代前後の婦人が大部分。ネットの商品写真で好みの柄を見つけると、現物を確かめに都内などから店を訪れるのだという。面白いのは、馴染みになるとネットで気に入った着物や帯を、自宅まで宅急便で送ってくれることだ。直に手に触れて吟味し、嫌なら送料負担で送り返せる。気に入れば代金を振り込めばいい。

▼もともと呉服の行商では、客に反物を預けて、次回訪問する際に現物を引き取るか、代金をもらうという置き売りの風習があった。地縁社会の日本だからこそ成り立ってきた昔ながらの信用商売が、ネットの世界と融合している。成長が早く、勝ち組と負け組の峻別が厳しいネットの世界だが、まだまだ新しい業態開発の余地はありそうだ。
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