北斗七星

北斗七星 2006年5月15日付 Vol.1137

2006/05/15 15:38

週刊BCN 2006年05月15日vol.1137掲載

▼「みどりの日」(4月29日)に始まった今年のゴールデンウィークは、有給休暇を2日取れば9連休。休暇を楽しめるのは豊かな経済力と平和の証だが、4月28日が「サンフランシスコ講和条約」締結(1951年)、5月3日が「東京裁判」開廷(1946年)が重なっていることは存外に知られていない。

▼もうひとつ、62年前のこの時期、太平洋戦争最後の総力戦が沖縄で繰り広げられた。総力戦とはいえ、武器・弾薬、燃料や食料に決定的な優劣があった。宜野湾方面に上陸した連合国軍に日本軍が唯一最大規模の反攻に出たのは5月4日。翌5日18時に作戦中止、30日首里放棄、6月23日牛島満総司令官自決、日本軍降伏と続く。

▼過日、その沖縄を旅する機会があった。糸満から知念にかけて、2車線の道路の両脇に乗用車が連なって駐車し、片側交互通行になっている。集会でもやっているのかと山の手を見れば、家族・親族うちそろってのお墓参りということが分かった。鉄の雨に打たれて23万人もの市民が命を落とした。サトウキビが伸びやかに茂り始める沖縄の初夏は慰霊の季節でもある。

▼その沖縄がIT分野で再び脚光を浴びている。2001年のIT特区指定以後、浦添市を中心に本土から進出した情報関連企業は100社を超え、新たに創出された雇用は8300人という。今年からオープンソース・ソフトウェアの利活用が加わり、米海兵隊普天間飛行場の跡地にはソフトウェア検証センターが計画されている。ITの発展は平和であればこそ─ではないか。
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