旅の蜃気楼

サービスの真髄とは

2006/05/01 15:38

週刊BCN 2006年05月01日vol.1136掲載

【博多発】結婚式とは非日常である。新郎新婦のご両人には、人生における非日常で、大切な一日だ。4月15日、博多で友人の結婚式に参加した。以前、応研で働いていた南壽郎さんだ。今は独立して、ハットワークスというネットベンチャー企業の社長だ。式場は中央区大名にある。駅前からタクシーに乗った。「ヴィラコスタサンジョルディまで、お願いします」「どこにあるんですか」「大名ですが…」「知らないな…。大名は、毎日走っているんだがなぁ」。ともかくベテラン風な運転手は知らない。タクシーの運転手が知らない結婚式場に興味を持った。

▼友人といっても年齢は親子ほど違うので、主賓の挨拶がお役に当たった。この役は結構、気を遣い緊張する。参加者は新郎新婦の門出を祝う気持ちで一杯だ。そんな皆さんの心に染み入る挨拶はできないものか。いつもそんな姿勢で臨んでいた。挨拶を終わるたびに、場の雰囲気で、挨拶の出来・不出来を感じていた。ところが新しい発見をした。実は、主賓挨拶というのは、内容はどうでもよくて、その場の雰囲気に沿って流れていれば、いいのだと…。

▼家に帰ってさっそく、結婚式場のヴィラコスタサンジョルディをGoogleで検索した。357件あった。本社は恵比寿で、「ポジティブドリームパーソンズ」という会社だ。ホームページに入ると、そこには非日常の雰囲気がある。大地と大空の空間をヒーリングの音で充満させて酔わせ、五感をくすぐる大人の雰囲気がある。当日の結婚式の演出にもそう感じた。新郎新婦が並んだチャペルに牧師はいない。賛美歌も歌わない。親族と友人の人前結婚式だ。新郎は赤いバラを新婦に渡した、お返しに新婦は日記を手渡した。お互いに3つの誓いを交わし、会場は拍手で沸いた。スペインのある地方風という。流儀などどうでもいいのだ。この結婚式場のコンセプトを見た。「自分がされて嬉しいことを人にしてあげること」だ。ハットワークスのコンセプトは「ユーザー様のご要望に100%お応えするのではなく、120%、150%を目指しています」とある。すばらしいではないか。パフォーマンスは総合評価だ。(BCN社長・奥田喜久男)
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