北斗七星

北斗七星 2006年1月30日付 Vol.1123

2006/01/30 15:38

週刊BCN 2006年01月30日vol.1123掲載

▼年明けからライブドアショック、米国産牛肉の輸入再停止問題など世間を騒がせる事件が相次いでいる。そうした事件の陰であまり目立たなくなってしまったが、個人的に技術革新の結果として象徴的に思えるのがニコンの銀塩カメラ事業縮小とコニカミノルタのカメラ事業撤退である。

▼新聞記者になりたての頃、写真研修のときにあてがわれたのが、とっくに現役を引退していた初代「ニコンF」だった。その頃には、すでにオートフォーカスが普及しており、ピント合わせから露出、シャッター速度も全てマニュアルの「ニコンF」を操作するのは新鮮な驚きというよりも、面倒臭さの方が先に立った。しかし先生役の写真デスクに教わりながら、いろいろ試しているとだんだん手になじんでくる実感を味わうことができた。

▼コニカミノルタが合併する以前のコニカ製カメラにも思い入れがある。「ジャスピンコニカ」として一世を風靡した世界初のオートフォーカスカメラ「C35AF」と、それよりはるか以前の製品である「コニカⅡ/Ⅲ」を北斗子は愛蔵している。高価ではないがギラリとした金属ボディの質感は、加工技術の高さを示す仕上がりとなっていた。

▼デジカメ全盛の時代になって、市場のプレイヤーの顔ぶれが変化しているのは衆知の事実ではある。舞台を去るメーカーが出てくるのも技術開発と販売市場での競争の結果。マネーゲームに成長を求め“想定外”の理由で退場を余儀なくされるのではない、企業の実力による真剣で厳しい競争を見る思いがする。
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