旅の蜃気楼

今日もクレーンが動いている

2006/01/23 15:38

週刊BCN 2006年01月23日vol.1122掲載

【本郷発】年明けから、今日も忙しくクレーンが動いている。BCN編集部からおよそ1キロ先の東に、秋葉原が見える。1年前の風景には高層ビルはなかった。街並みが変わった、ほんとに変わった。ビルが建ち始め、筑波研究都市と電車でつながった。すると、見る見るうちに街を歩く人の「顔つき」が変わり、人の流れも新しくできた。昼のアキバは最先端の国際都市になる。この街を歩いているとさまざまな国の言葉が聞こえてくる。世界から“オタク”がやって来る。そんな印象が強い。“アキバ”は世界のブランドだ。これは大いに誇っていい。

▼ところが、インターネットの普及とともにネット犯罪が増え始めると、その同じ線上に、“アキバ”を並べて見る人たちが出てきた。アキバ系、萌え、オタクという言葉に、ネット犯罪の温床を連想づけるわけだ。宮崎勤事件の判決が17日にでた。この関連記事を読んでいると、アキバの存在は、オタク犯罪の解説に欠かせないキーワードになっている。このイメージは払拭したい。アキバの魅力を解明すると次のようになる。“オタク”にはさまざまな種類がある。オーディオ・オタク、アマチュア無線・オタク、パソコン・オタク、ゲーム・オタクなどと、家電系機器の“オタク”にとって、アキバは楽しい街だ。それも怪しげなジャンルまで幅広く品揃えしているため、宝探しができる街なのだ。これを「粘菌が住みついた宝の街」という人がいる。この粘菌の存在が、未知数な創造意欲を醸造するんだという。

▼今、アキバの街は2分割を始めている。境界線は中央通りで、東側がビル街、西側が宝の街だ。高層ビルの谷間を足早に通り抜ける人たちと、宝の街をゆっくり歩く人たちに分かれる。休日、1日かけて東と西を行ったりきたりしながら、宝探しを楽しんだ。そうこうするうちに疲れた。休憩をとるには東側が便利だ。疲労が回復すると、再び、興味の赴くままに歩いた。西側の店には歴史的な中古機やパーツがあって、滞留時間が長かった。結局、ヨドバシカメラの7階で、本を買った。どうしてここではポイントが使えないんだろうか?アキバの興味は尽きない。(BCN社長・奥田喜久男)
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