北斗七星

北斗七星 2005年12月19日付 Vol.1118

2005/12/19 15:38

週刊BCN 2005年12月19日vol.1118掲載

▼売買入力担当者の顔はみるみる青ざめていったことだろう。直接の原因はみずほ証券側の誤発注にあったとはいえ、ミスに気付いて複数回の取り消し処理を行ったにもかかわらずシステムが受け付けず、この間にどんどん売買が成立し損失が膨らんでしまった。信用第一の証券取引において、11月1日にもシステム障害を起こした東京証券取引所は、当初みずほ証券側の取り消し作業に原因があったと説明したが、一転して再び苦況に追い込まれる事態となった。

▼システム開発の現場ではあらゆる想定外のケースをシミュレーションし、常識を越える操作や入力が弾き返せるようフローチャートが組まれている。もちろん東証のシステムも何度もテストを繰り返し、トラブルの根をつぶしていたに違いない。だが、初値が付く前の新規上場銘柄については、常識を逸する売り注文にもかかわらず、すんなり穴をすり抜けてしまった。

▼ともすればシステム開発の現場は納期が迫ると泥縄式の作業を強いられることが多い。「徹夜しないと仕事をした気がしない」と豪語するエンジニアもいるが、やはり見落としの危険性は高まる。2002年に発生したみずほフィナンシャルグループの障害では、システム統合にあたってのトップの理解不足、主導権争いに加え、時間に追われるなかでのプロジェクト管理の欠如があったとされる。東証の根本原因は今後の検証に委ねるしかないが、それとは別に、そろそろ業界あげて泥縄式を返上する時期にあるではないだろうか。
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