旅の蜃気楼
事業規模か、REVOLUTIONか
2005/11/21 15:38
週刊BCN 2005年11月21日vol.1114掲載
▼アップル・CEOのスティーブ・ジョブズ氏が6月12日、スタンフォード大学の卒業式で祝賀スピーチを行った。この英文が今、チェーンメールのように、世界を駆けめぐっている。弥生・社長の平松庚三さんは、「ジョブズのスピーチがあってすぐ、マニラの友人がメールで送ってくれましたよ」。知る限りでは、平松さんが最も早く読んでいる。「感動だよ。久しぶりの感動じゃないかな」と、目をぐるぐると回す。実はこのスピーチの翻訳メルマガはネットイヤーグループのトム・サトウさんが、最初に発信した。
▼スティーブが、今度は『TIME』11月14日号の表紙を飾った。「次は何なの…」という特集だ。もちろん、iPodシリーズの快進撃を評価してのことだ。1977年のApple II、1984年のMacintosh、2001年のiPod、そして今年につながる。とくにiPodは、新しいデジタル・ライフを演出したことに価値がある。すばらしい彼の業績にはハードという顔が常にある。
▼それに対して、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏には、ハードの顔がない。対照的だ。この2人はパソコン誕生の黎明期から市場をリードし、常に比較されてきた。今の事業規模では、ビルが優位にいる。しかし、REVOLUTIONということではスティーブに軍配があがる。両社を取り巻く事業環境から明日を計ると、次のようになる。マイクロソフトの強さはOSだ。パソコンに占めるOSの支配力、特に、Windowsのそれは絶対的でなくなっている。その代替、もしくは異業種への転換をいかに見つけだすかがポイントだ。アップルは、スティーブ個人が備えている開発力の秘密を、組織の機能にどう移植できるかだ。早急に判断はできない。エジソンがGE社を創業したのは127年前。さて、2100年頃の両社の企業価値はどうなっているんだろうか。判断は後世に譲ろう。(本郷発・奥田喜久男)
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