北斗七星

北斗七星 2005年11月14日付 Vol.1113

2005/11/14 15:38

週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載

▼「プラズマテレビは電機メーカーの〝顔〟。倍々で量産していく」(中村邦夫・松下電器産業社長)、「テレビの復活なくしてソニーの復活はない」(中鉢良治・ソニー社長兼エレクトロニクスCEO)。ここにきて電機大手のトップから、テレビ事業に対する強い意思表示が聞かれるようになった。松下電器が「世界同時、垂直立ち上げ」を標榜し世界戦略を加速する一方、薄型テレビで出遅れたソニーも、北米で8月に投入した液晶テレビ「BRAVIA」が10月に入り北米液晶市場で30%超のシェアを確保したという。

▼家庭内ネットワークの核になるであろうデジタルテレビの主導権を巡り、今後各社は命運を賭けたグローバル競争を繰り広げるに違いない。これを勝ち抜くうえで、大きなカギを握っているのが内部に組み込まれるソフトウェアだろう。薄型テレビに代表される情報家電をはじめ、携帯電話やカーナビゲーションシステムなどに搭載される組み込みソフトは、ホーム、モバイル、カーエレクトロニクスの影の主役となりつつある。

▼日々要求が高度化する組み込みソフト需要に、開発側からは悲鳴にも似た声も伝わってくるが、ここにこそ日本のソフト開発力の真価を発揮できる領域が広がっている。〝日の丸ソフト〟の輸出力の弱さがかねてより指摘されるなかで、統計では捕捉しづらい組み込みソフトは、デジタル家電などの各種情報機器を媒体に静かに世界へ浸透し始めている。日本はソフト大国としてもっと自信を持って良いのではないだろうか。
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