アップルコンピュータが参入したことで、音楽配信サービスが一層の注目を集めているなか、ISP（インターネットサービスプロバイダ）大手のニフティも、先月下旬に、音楽配信事業の開始を発表した。

　サービス開始時期の楽曲数は15万曲と、もの足りなさは否めないが、SDカード対応の携帯電話やオーディオ機器であれば、「iPod」のような専用プレイヤーでなくても聞くことができる。

　ニフティは、この音楽配信サービス市場参入を機に、音楽配信を含めたデジタルコンテンツサービスを強化する方針も発表。映像配信サービスも計画中で、2007年度（08年3月期）には、デジタルコンテンツ事業で約80億円の売上高を狙う。古河建純社長は、「デジタルコンテンツサービスを、インターネット接続サービスに次ぐ事業に育てたい」と並々ならぬ決意だ。

　インターネットブームとブロードバンドの普及で着実に会員数を増やし、ビジネスに結び付けてきたISPだが、今は成熟期を迎えている。単純に会員を獲得するだけでは生き残れない。メインブランドである「＠nifty」とは別に、「MOOCS（ムークス）」という新ブランドを押し出し、ニフティ会員でなくても新サービスを提供できるようにした取り組みが、それを裏付けている。ISPのビジネスモデルにも変革が迫られている。