Letters from the World

深センの地下鉄その後

2005/10/03 15:37

週刊BCN 2005年10月03日vol.1107掲載

 深セン(シンセン)の地下鉄が開通して10か月が過ぎた。最近の地下鉄で目についたことをいくつか報告したい。

 隣接する香港の九龍鉄道の羅湖駅から深セン特区に入った場合、税関を出てから数分で地下鉄駅にたどり着ける。もちろんエスカレーターやエレベーターがあるので、乗り継ぎはとても楽である。

 車体の大きさは台北などと同じく、ヨーロッパスタンダードといえる大きさ。日本の地下鉄に比べるとひと回り大きく、閉塞感がない。走行時の振動や揺れも少ない。

 運行間隔はピーク時でも8分程度で、これは日本の運行間隔からすると長い。

 電子チケットは、日本と違いコイン型のトークン式である。これは、広州市の地下鉄などで使われているものと同じで、欧州ではドイツで使われているものとほぼ同じである。

 電子チケットは非接触式であるが、これの読み取りタイミングと、改札口のドアの開閉タイミングが人の流れと感覚的に合わず、右往左往する人が後をたたない。駅員が常に改札口の脇に待機しなければならない状態になっている。

 ちなみに、駅員の対応は、お世辞にもいいとはいえない。とにかく威張っているのである。

 ついでに駅自体のことを一言でいうと、ゆとりのある広さで、明るく、エアコンが効いており、快適である。これは改札に入る手前の空間でも同じである。

 キオスクや公衆電話の他、中国にしてはとても清潔なトイレが無料で利用できる。

 このため、地下鉄の利用に関係のない人たちで終日賑わっている。

 例えば、外の暑さを避け、子供と戯れる主婦とか、横断歩道や歩道橋の代わりに利用する通行客などである。

 日本の地下鉄はトイレが改札の内側にしかないことが多いが、この意味では、中国の方が太っ腹なのか、あるいは駅の設計時のミスで予想されない使われ方をされているのか、とても興味深い。(深セン発)
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